年頭所感

年頭所感

2022年1月1日
全国地方銀行協会
会長 柴田 久

全国地方銀行協会 会長 柴田 久

謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご支援、ご厚誼に心から御礼申しあげます。

昨年を振り返りますと、世界経済ならびにわが国の経済は新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けた一年となりました。国内の各地域においては、昨年の緊急事態宣言の解除以降、経済活動再開の動きがみられますが、新たな変異株が出現するなど予断を許さない状況が続いています。また、半導体不足や資源価格を中心とする物価上昇圧力が、原材料や物流価格の上昇という形で、企業収益にマイナスの影響も与えており、経済回復に向けた先行きの懸念材料となっています。

私ども地方銀行は、引き続き、お客さまの資金繰り状況に最大限の注意を払うとともに、創意工夫を活かしつつ、お客さまに寄り添った課題解決支援を徹底してまいります。

今年度、全国地方銀行協会は、「ニューノーマルな環境下での持続可能なビジネスモデルの確立」「デジタルトランスフォーメーションへの取り組みとイノベーションの創出」「SDGs/ESGに基づく将来事業の創造」の3つの柱を掲げて取り組みを進めてまいりました。
 本年におきましても、これら3つを柱として、様々な取り組みを深化させてまいります。

第1の柱である「ニューノーマルな環境下での持続可能なビジネスモデルの確立」については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたお客さまへの資金繰り支援に加え、with/postコロナ時代に適応するため、お客さまに寄り添い、伴走しながら、事業承継や経営改善、事業再生あるいは事業再構築などに取り組む企業の経営支援を通じて、地域社会の課題解決に貢献してまいります。
 本年は、こうした取り組みをより一層進めていく観点から、昨年11月に施行された改正銀行法を活用した各行のサービス拡充・収益力向上を支援するとともに、各行の取り組みを対外的に発信し、好事例を共有してまいります。

第2の柱である「デジタルトランスフォーメーションへの取り組みとイノベーションの創出」については、送金サービスの利便性向上やキャッシュレス化の推進、手形・小切手機能の全面的な電子化など、お客さまのニーズを踏まえた決済サービスの高度化を進めてまいります。
 当協会が要望してきたQRコードの導入に関しては、2023年度に地方税の納付書に「地方税統一QRコード」が印字される方針が決定したことから、各行の導入に向けた支援を継続してまいります。また、地域におけるDX推進に向けて、当協会としてデジタル人材育成のための集合研修を実施してまいりました。引き続き会員銀行の能力開発に向けた取り組みを支援してまいります。

第3の柱である「SDGs/ESGに基づく将来事業の創造」については、近年、異常気象や自然災害により甚大な被害が頻発するなか、特に、気候変動問題への対応に力を入れて取り組んでまいります。
 政府が掲げた2050年カーボンニュートラルの実現は、グローバルで達成しなければいけない課題であり、地銀界としても貢献していく必要があります。当協会としては、各行と課題を共有し、地域へのエンゲージメントを高め、地域における気候変動問題への対応が着実に進むよう、情報開示の拡充やリスク分析などの取り組みを積極的に支援してまいります。

私ども地方銀行は、本年も、地域社会の一員として豊かで活力あふれる地方経済、地域社会の実現に尽力してまいります。また、当協会は引き続き地方銀行がそれぞれの地域において直面する課題解決に資する支援を積極的に行ってまいります。
 年頭にあたり、内外ともにこの一年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上