年頭所感

年頭所感

2024年1月4日
全国地方銀行協会
会長 五島 久

全国地方銀行協会 五島 久

年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。旧年中に賜りましたご支援、ご厚誼に心から御礼申しあげます。

この度の能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、そのご家族と被災された方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。引き続き地震活動が続いていますので、被災地域の皆さまのご安全とご無事をお祈りします。

昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の5類移行による経済活動の正常化が進む中、景気は緩やかに回復しました。一方、インフレに端を発する急速な海外金利の上昇、円安の進行、原材料・燃料価格の高騰、人手不足等、地域社会および地方銀行を取り巻く環境は依然として先行きが不透明な状況にあります。また、地域のお取引先においては、ゼロゼロ融資の返済本格化やDX、サステナビリティへの対応も課題となっています。

私ども地方銀行は、引き続き、お客さまの実情に応じた資金繰り支援や事業そのものをサポートする本業支援などを通じて、こうしたお客さまの課題解決を支援し、地域経済の持続的な成長に貢献します。被災地の復旧、復興に向けても積極的に取り組みます。

今年度、全国地方銀行協会は、「地方銀行の健全な発展を通じて金融経済の伸長に寄与し、もって公共の利益を増進する」という設立目的のもと、会員銀行における「地域社会が豊かになるための取り組み」「会員銀行の健全な成長に資する取り組み」「新しい価値の創出に向けた取り組み」の3つの取り組みを積極的に支援してきました。
 本年も、この3つの取り組みを着実に進めます。

「地域社会が豊かになるための取り組み」については、お取引先の成長に向け、収益力の向上や事業承継、デジタル化など、お客さまのニーズに応じた支援を行っています。また、地域の持続的な発展に貢献できるよう、スタートアップ支援体制の整備や、SDGs、地方創生についても積極的に取り組んでいます。
 個人のお客さまに対しては、お客さま本位の業務運営を徹底し、本年1月から始まった新たなNISA制度なども活用して、長期安定的な資産形成のニーズに対応するとともに、金融経済教育を通じた金融リテラシーの向上にも貢献します。協会事業として、会員銀行の実効的な態勢整備をサポートするため、研修用動画の提供や勉強会の開催等を行っており、今後も引き続き、こうした取り組みを継続します。

「会員銀行の健全な成長に資する取り組み」については、会員銀行のコーポレートガバナンスの強化や、金利上昇を見据えた市場リスク管理態勢の強化等を通じた経営管理の高度化に取り組みます。また、行員の能力発揮を企図した人財育成やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)への取り組みなどを進めます。協会事業として、情報提供や取組事例の共有等を通じ、会員銀行の取り組みをより一層深化できるよう支援します。

「新しい価値の創出に向けた取り組み」については、新たなテクノロジーを活用し、お客さまへ新たな価値を提供できるよう努めています。
 協会事業として、昨年から、自治体や銀行、電気ガスなどの民間事業者への住所変更等の諸手続きを、ワンストップでオンライン手続きができる「生活基盤プラットフォーム」の構築を検討しています。全国各地に稠密なネットワークを持つ地方銀行が中心となり、安全・安心で利便性の高いインフラを提供することは、国民の皆さまの豊かな暮らしへのお手伝い、そして地方銀行ビジネスへのご理解にも繋がるものと考えます。

私ども地方銀行は、本年も、持続可能な地域社会の実現に貢献することで、地域社会における地方銀行のさらなる存在価値の向上に努めます。
 2024年が、皆さまにとって実り豊かな一年になりますようお祈りいたします。また被災地の復旧、復興、そして被災地の皆さまの日常が一日も早く戻りますよう心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以 上