会長のご挨拶

年頭所感

<年頭所感>
平成29年1月1日

全国地方銀行協会
会長 中西  勝則


 

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に心から御礼申しあげます。

 昨年を振り返りますと、私たち金融機関に最も大きなインパクトを与えたのは、未曾有の金融緩和政策となった「マイナス金利政策」の導入でした。これにより、すでに低水準にあった預金と貸出金の金利差は限りなく縮小し、金融機関は、その規模を問わず極めて厳しい経営を強いられることとなりました。
 しかし、この政策の目的は日本経済がデフレから脱却し、早期に景気の回復を実現することにあります。したがって、金融機関はこの政策を受動的に受け入れるのではなく、持てる機能を十二分に発揮し、積極的に経済の活性化に貢献する姿勢が強く求められています。
 私たち地方銀行は、こうした共通の認識のもとに、それぞれの地域に応じた創意と工夫を発揮し、地域経済の活性化に向けた「地域密着型金融」を着実に実践してまいりました。
 平成29年も、引き続きこの私たちの果たすべき社会的使命に真摯に取り組むとともに、会長所信として掲げた諸課題への対応の深化をはかり、お客さまの期待と信頼に応えるソリューションの提供を通じて、地域とともに確かな未来を切り拓いてまいりたいと思います。


 所信の第一に掲げた「地方創生」については、それぞれの地域が特長を活かし、自律的で持続的な社会の創生を目指す「地方版総合戦略」が実行段階を迎えています。私たち地方銀行は、「地方創生」への取り組みを経営の重要な課題として位置づけ、全国の自治体が推進する「地方版総合戦略」についても、その8割に対して策定段階から関与するとともに、計画の達成に向けたサポートに取り組んでいます。今後も、地域の構成メンバーである「産官学金労言」を有機的に結びつけるコーディネーターとしての役割を果たし、豊かな地域社会の創造を目指すこの計画の成就に向け、積極的に貢献してまいりたいと考えています。
 あわせて、地域の持続的成長を担う鍵となる中小企業に対して、担保・保証に過度に依存することなく、技術力や将来性など事業性評価に基づく融資を推進するとともに、各種支援機関等との連携によりコンサルティング機能の向上をはかり、創業・新事業支援、ビジネスマッチング、経営改善・事業再生、事業承継など、それぞれライフステージにおいて直面する経営課題を共有し、その解決に向けてともに努力してまいります。


 つぎに、お客さまの安定的な資産形成を適切に支援し、常にお客さまから支持され信頼される金融機関であり続けるために、お客さま本位の業務運営の実践はもちろん、ニーズ志向に基づく商品開発、さらにはフィンテックの活用も視野に入れ、金融サービスの一層の高度化に向けた検討を重ねてまいります。
 そして、地域金融の担い手として、どのような環境変化に直面しても、安定した金融サービスを提供することができるよう、健全経営の維持と経営基盤の強化に向け、実効性あるコーポレートガバナンスの実現をはかってまいります。


 最後に、郵政民営化について申しあげます。
 完全民営化に向けた道筋は依然として示されておらず、公正な競争条件が確保されない状況下にあって、預入限度額の再引き上げや新規業務参入を巡る議論が行われています。仮に、このままの状態で預入限度額の再引き上げ等が行われた場合、私たち地方銀行はもとより、地域金融を担うすべての地域金融機関の経営に大きな影響を与えることは必至であり、この将来的に大きな社会問題となる懸念を十分に考慮したうえで、深度ある議論が行われることを強く希望しています。
 一方、地域社会の活性化やお客さまの利便性向上という観点から申しあげれば、金融サービスの向上に資する取り組みについては、互いの協調・連携を視野に入れ、適切に対応してまいりたいと考えています。


 私たちを取り巻く社会に目を転ずると、さまざまな領域で、相当なスピードをもって構造的な変化が進んでおり、海外においても、英国のEU離脱決定、多くの予想に反した米国大統領選挙など、従来のグローバリズムとは一線を画す潮流が生まれようとしています。
 しかし、こうした変化のプロセスとは、時代が要請する新しい何かを生み出すための胎動であると言い換えることもできるのではないでしょうか。その意味から言えば、変化の本質を理解する洞察力、変化の行く末を見抜く先見性をもってすれば、変化への挑戦は、自らの可能性を見出す道となるはずです。
 私たち地方銀行は、常に地域社会の未来を見据え、直面する変化に果敢に挑戦してまいります。そして会員64銀行それぞれの挑戦が、この国の明るい未来を切り拓く大きなエネルギーとなることを願って新年のご挨拶とさせていただきます。
 皆さまにおかれましては、何卒倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申しあげます。