会長のご挨拶

年頭所感

<年頭所感>
2018年1月1日

全国地方銀行協会
会長 佐久間 英利


 

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に心から御礼申しあげます。

 昨年を振り返りますと、わが国経済は、好調な企業業績や雇用情勢の改善などにより、緩やかながらも、いざなぎ景気越えとなる長期の景気回復局面のなかにあり、個人消費や設備投資も概ね底堅く推移しました。一方で、年々頻度を増しつつある自然災害や、高まりつつある地政学的リスク、かつて金融危機を招いた資産バブルを彷彿とさせる仮想通貨の値動きなど、注意を払うべき事象も各所にみられ、まさに「治に居て乱を忘れず」と強く自戒すべきときにあると考えております。


 こうしたなか、私ども地方銀行は、未曽有の低金利環境に加えて、少子高齢化・人口減少時代の本格的な到来という厳しい経営環境の下、早期に自らの持続可能なビジネスモデルを確立するとともに、地域経済の持続的な発展に向けて貢献していくことが求められています。
 今年度、全国地方銀行協会は、「地方創生」、「『お客さま本位』の業務運営」、「働き方改革」の3つの柱を掲げて取組みを進めてまいりましたが、ちょうど中間点を迎えましたので、これまでの活動を振り返り、後半に向けての課題を整理したうえで、取組みを加速してまいりたいと思います。


 まず、地方創生につきましては、各地域が将来に亘って成長していくことを目指す「地方版総合戦略」に基づき、各地域の実情に即した具体的な取組みが進みつつあります。こうしたなか、私ども地方銀行がコンサルティング機能を発揮し、地方公共団体や地域のお客さまと連携して課題解決に成功した事例が各地において報告されています。今後とも、関係者間の連携を密に、持続可能な地域経済の実現に向けて一層の研鑽を積んでまいります。
 「お客さま本位」の業務運営につきましては、昨年9月までに全会員銀行が、商品の品揃えや利便性の向上、適切なインセンティブ付与の仕組みなど、ベストプラクティスを目指した「お客さま本位」の業務運営に係る基本方針を策定・公表しております。今後は、具体的な取組み状況についてKPIの導入などによる「見える化」を進めるとともに、会員銀行間のみにとどまらず、他業態との切磋琢磨を通じてその取組みをより充実したものとしていく必要があります。
 「働き方改革」につきましては、生産年齢人口の減少が加速するなか、わが国経済の持続的な成長を実現していくうえで、いよいよ避けては通れない課題となってまいりました。会員各行は、先進的な取組みについて、他業界のものであっても積極的に研究し、それぞれの実情に合わせて創意工夫しながら「働き方改革」を進めています。当協会としても、各行のベスト・プラクティスを持ち寄り、こうした取組みを業界全体、ひいては各地域にも浸透していくよう、様々な場において意見発信してまいります。


 最後に、政府系金融機関について申しあげます。私ども地方銀行は、政府系金融機関のあり方について、「民業補完」を旨としつつ、民間金融機関と連携・協調して地域経済の発展を下支えする役割を担うべきものと認識しています。「民間にできることは民間に委ねる」という政府系金融機関の本来あるべき姿の実現に向けて、関係省庁や政府系金融機関と対話を重ね、改善を求めてまいります。


 郵政民営化についても同様です。昨年9月、日本郵政の政府保有株式の二次売出しが実施されました。政府保有株式の処分が進展したことは、民営化に向けた重要なステップであると評価しています。しかしながら、日本郵政が保有するゆうちょ銀行の株式について、その全部処分に向けた具体的な道筋が未だに明らかにされていないことは誠に遺憾です。ゆうちょ銀行の完全民営化に向けた具体的な説明責任が果たされることを強く希望します。一方で、地域活性化やお客さまの利便性向上に資する連携・協調を進めることは意義あるものと認識しておりますが、これらも公正な競争条件の確保が大前提であると考えております。


 私ども地方銀行は、本年も地域社会の一員として、地域のお客さまとの間に共通価値を創造し、豊かで活力にあふれる地域経済の実現に尽力してまいります。皆さまにおかれましては、何卒倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申しあげます。
 年頭にあたり、内外ともにこの一年がすばらしい年となること、皆さまのますますのご発展、役職員の皆さまとご家族のご健勝を祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。